フィクショナル・ワンダーランド

 

 

今日は朝起きると隣に女子高生がいたので驚いた。

 

 

昨日から体調が悪くて、今日はずっと寝ていた。何もできなかった。今日はダメだったのだと割り切って、明日は色々したいと思う。読みたい本はたくさんあるのだ。あとソシャゲ始めたいし。ソシャゲ、ツイッターの方では何度か呟いたけど、最初に好みドストライクの女の子キャラが出ないと全く続かなくなるので、どうにかしたい。

 

で、女子高生である。朝起きたらベッドの隣に女子高生が寝ていたので本気でビビった。何故隣に女子高生がいるのか本気で分からなかった。だって、昨日は一ヶ月限定のバイトの最終日で、体調が途中で物凄く悪くなって、何とか帰り着いてベッドに倒れ込んで、ラノベを読んで泣いて、そのまま一人で寝たのだ。こんな美少女JKが入り込む余地はないし、そもそもこんな美少女持って帰ってたら120%覚えてるっての。何かどうしたらいいか本気で分からなくなって、思考が停止して、とりあえず歯を磨きに行った。今考えると完全にテンパっている。何で歯を磨きに行くのだ。でも仕方ないと思う。だって目が覚めると隣にセーラー服着た女子高生がいるのだ。それだけでもビビるというのにしかも美少女で色白で黒髪ロングで姫カットでスレンダーで黒ソックスだ。黒ソックスて、お前、ちょっとお前、ドストライクかよって等と考えながら歯を磨いてベッドに戻ってみると、女子高生はまだいた。ただでさえ体調が悪いのに、体調の悪さとは違う原因の眩暈がプラスされ、たまらなくなりベッドに座り込んだ。これは多分幻覚だ、と思った。多分ツイッターで女子高生と同棲したいって呟きすぎてついに幻覚まで見始めたのだ。取りあえず自分の手の甲をつねってみた。痛かった。

次はこの恐らく幻覚である目の前の女子高生に触れてみて幻覚かどうかたしかめてみようと思ったが、手が止まった。つるつるの白い肌に毛穴は見えず、自分の肌との違いにただただ驚いた。CGかなんかか?長い長い睫毛、鼻筋のはっきりした小さな鼻、桃色の薄い唇、黒いスカートの纏わりついた細い脚、あ、これヤバいな触ったらヤバい奴だな、なんか凄い犯罪臭い。というか十中八九犯罪なのでは、こんなモテないヤバい変態的人間がこんな美少女に触ったら警察呼ばれるのではというか家にこんな美少女がいる時点でこの子が起きたら警察呼ばれるに違いないのでは、と気付き、焦燥した。

それは困る

ようやく博士後期課程にあがれたというのに警察に逮捕は困る。しかも女子高生家に連れ込んだって。いや連れ込んでないけど。でも状況はそうじゃんっていう。そんなの研究室の人間にばれたら何言われるか分かったもんじゃない。いや、何言われるか分かるわ。アイツはもともとちょっとやばい奴だったがついにやってしまったかと言われ、飲み会のよい肴にされるのが目に見えている。体調が悪くて眩暈がする身体を何とか支えながら、止まった手を下におろした。動悸がした。どうしよう。この子が起きたら、どうしよう。起きる前に殺すしかない?でも死体をどうしたらいいんだ、溶かす鍋も大量の水もない。いやいやいや何考えてんだ馬鹿、そもそも殺した方が罪状重いだろ、いやでも、どうすれば、そもそも幻覚の可能性もあるぞ、だから幻覚かどうか確かめてから殺すかどうかも判断しないとダメだ取りあえず触ってみようと思って、勇気を出して手を伸ばした。真っ白な手首にそっと触れる。骨の辺りに触れたのか、皮膚の下の硬い感触と生温さが指先に伝わってきた。幻覚にしてはリアルすぎる、けど幻覚ってリアルなもんなんでは、と思い、あああマジダイモーン罪深い!方法的懐疑!コココ、コギトエルゴスム!と適当に連想されたデカルトに救いを求めたが、依然として幻覚なのかリアルなのか本気でどっちか分からない。今でも分からん。あれか、もう、エポケーかって、そういうレベル。それだけ状況がおかしかったのだ。我思う故に我ありは凄いけど、知りたいのは目の前の美少女が幻覚なのかリアルなのかなの!とベッドに座ったまま混乱していたら、美少女の目がぱっくりと開いた。あ、やばい、と思って急いで手をひっこめた後で、女子高生は起き上がった。めっちゃ綺麗だった。いやほんと、綺麗すぎて意味分かんないっていう。美少女女子高生はしばらくボーッとしていたが、私の方を見つめてきて、小さな声でごめんなさいと言った。めっちゃ美人過ぎて、目がおっきくて、黒目がうるうるしてて、小顔で、姫カットが似合うって時点で美人確定なんだけど、多分この子だったら、どんな髪型でも似合ってしまう、こんな、こんな見た事もないような美少女が人類なら、私は一体何なんだと思うレベルで綺麗で、謝られた事に暫く気づかなかったレベル。凄かった。マジで。

で、テンパってたので何でここにいるのかを聞く前に、何で謝ってきたのか尋ねた。緊張してめっちゃどもってしまったけど、美少女は挙動不審の私に変な顔もせず、真顔で色々と詳しく説明してくれた。あの子のプライベートに関わってくるだろうから詳細は書けないけど、簡単に言えば、色々あって家出して、でもお金も寝るところもなくて、目の前にあったアパートのドアノブを片っ端から回してみたら、私の部屋のドアが施錠なされていなかったらしい。それで上がって、ベッドに寝たらしい。ああ、昨日体調悪すぎて帰った途端廊下に寝転んだから鍵かけるの忘れてたのか…っていうかめっちゃ危ないな、私気を付けろよ…などと考えていたら、おもむろに美少女がベッドから降りて、玄関まで歩いて行った。どうしたんだろうと思って着いて行ったら、玄関に転がっていたローファーを履いて、お世話になりましたとだけ言って軽くお辞儀をして、鍵を開けて、出て行った。私は、なんていうか、驚きすぎて、展開についていけなくて、体調悪い事も忘れて、彼女を追いかける事すら忘れて、しばらく突っ立っていたけど、突然我に返って、玄関から飛び出して道端に立って周囲を見渡したけど、もうどこにもいなかった。しばらく近所を歩き回ってみたけど、いなくて、体調の悪さがじわじわ蝕んできて、息が荒くなってきたので諦めて帰った。帰る途中、結局彼女が幻覚なのかリアルなのか判断が付かなかったな、と思って、なんか笑うしかなくて笑った。ドアの施錠をして、階段を上がって、さっきまで女子高生が寝ていた布団に寝っ転がった。ガンガンにつけたクーラーのせいで女子高生のぬくもりはシーツに残っていなかったけど、指先で白い手首に触れた感触はまだ残っていたから、それが外界の空気に触れて汚れないように、ぎゅっと手を握りしめた。今思うと相当キモい。

 

しかし夜になって思い出しても狂ってんな。事実は小説よりも奇なり、なんていうけど、ここまでヤバいリアルを想定してないだろこの言葉っていうレベルで。なんだったのあの美少女。マジで訳分かんなさすぎて、頭がハテナで埋め尽くされてんだけど。いやさあ、多分フィクションだったら、美少女女子高生がそのままいついてくれるとか、そういうワンダフルなワンダーランド的な事が起こるんだろうな、と思って、現実ってほんと意味分かんない、そもそも幻覚だったのかリアルだったのかすら分かんなくて、今でも戸惑ってて、現実不条理すぎだなって思うわけですよ。まあ美少女だからよかったけどさあ、ほんとに綺麗だったんだもん。あんな綺麗な子いるんだって、心の奥深くから感動して、本当にドキドキしたんだもん。あの子、また会えるかな。玄関施錠せずに寝たら、また来てくれるかな。幻覚だったら、また現れてくれたらいいのにな。私の脳みそ頑張ってよ。

 

 

分かってると思うけど、ところどころ本当だけど、重要な所は全部嘘だからね?